ストーリー戦略を実践したい人のための入門書 -書評- なぜ桃太郎はキビ団子ひとつで仲間を増やせるのか?~儲かる会社は知っている!~
- 2011/04/20
- 15:00

僕は2010年に読んだビジネス書の中で『ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件』を第1位に選びました。
※参考記事: 2010年お薦めビジネス書ベスト10 (2010年12月31日)
同書は、アカデミックかつ500ページ超というボリュームでありながら実務家にとっても非常に読み易くためになる一冊であり、同書で語られた内容は、これから経営戦略の策定などに携わる立場にある人にとっては、必読の一冊だろうとまで思いました。
本書も、そんな「ストーリー」の持つ力について語られた一冊です。
やや表紙の絵の安っぽさが気になるところではありますが(笑)、「ストーリー」の入門編にはもってこいの内容でした。
僕個人としては、「ストーリー」の力を伝える個別の具体的事例にこそ知らない事例があり参考になりましたが、「ストーリー」に関する理論的(?)な部分については類書を読んできているために新味は感じられませんでした。
ただ、それぞれに読んでおいた方がよいストーリー関連の好著のエッセンスが盛り込まれ、「桃太郎」という、日本人であれば誰もが親しみやすい軸で解説されていく本書は、「ストーリー」を知るために読む一冊としては良いと思います。
さて、「桃太郎」の話を知らない人はいないと思いますが、なぜ桃太郎のキビ団子は「日本一」だったのでしょうか。
幼い頃、何の気もなしに「日本一のキビ団子」というフレーズを受け入れていた自分を懐かしく思いますが、大人になった今は、そんな無邪気な感想を抱いているわけにはいきません(笑)
あの時、イヌやサル、キジはまさにその一粒のキビ団子を「日本一」だと思ったはずなんです。
著者の岩崎さんが指摘するとおり、そこに「ストーリー」の力があったからにほかなりません。
何の変哲もないただのキビ団子で、イヌやサル、キジがたった一粒で命を賭けてもいいと思うに至らせるという、とんでもない力がそこにはあったわけです。
桃太郎は、キビ団子を餌に計画的に仲間を増やしたわけではありませんでしたが(むしろ、行き当たりばったりで結果的に仲間が増えただけなわけですが)、僕らは僕らの持つ「キビ団子」に魅力を感じていただくように、積極的に動かなければなりません。
震災による被害の中で、行き過ぎ感さえあるほどの自粛ムードが広がっています。
(個人的には、行き過ぎた自粛によって消費活動が落ち込めば、結果として震災復興支援が難しくなるという悪循環に陥ると思っているので、何とかして欲しいところですが)
横並びの自粛を抜け出すためにも「ストーリー」が大いに力を発揮するはずです。
日本全体が暗く落ち込む中で、岩崎さんが掲げる「世界が笑顔になる物語を増やす」というミッションの持つ意味が、より一層大きくなっていると思っています。
ビジネスに携わる多くの人たちが、ストーリーの力を知っていただくために、今、手にとって欲しい一冊としてお薦めします。
※ 本書は著者の岩崎聖侍さまより恵贈いただきました。厚く御礼申し上げます。
■ 関連リンク
著者ブログ: 小さな会社はストーリーを語れ!岩崎聖侍のヒーローズ・マーケティング
著者Twitter: @4649s
■ 基礎データ
著者: 岩崎聖侍
出版社: TAC出版 2011年3月
ページ数: 238頁
紹介文: 一番やさしくわかる「ストーリー戦略」の実践入門! 小さな会社のための「物語参加型消費」攻略法!
■ 本書の参考文献に関する書評記事
■書評■ ポジショニング戦略 [新版] (2010年3月2日)
【書評】価格、品質、広告で勝負していたら、お金がいくらあっても足りませんよ (2009年6月27日)
【書評】小さな会社のブランド戦略 (2009年7月26日)
【書評】全脳思考 (2009年8月10日)
■ 他の方の書評記事
知識をチカラに:
『なぜ桃太郎はキビ団子ひとつで仲間を増やせるのか?』岩崎聖侍(著)
ただ、それぞれに読んでおいた方がよいストーリー関連の好著のエッセンスが盛り込まれ、「桃太郎」という、日本人であれば誰もが親しみやすい軸で解説されていく本書は、「ストーリー」を知るために読む一冊としては良いと思います。
さて、「桃太郎」の話を知らない人はいないと思いますが、なぜ桃太郎のキビ団子は「日本一」だったのでしょうか。
幼い頃、何の気もなしに「日本一のキビ団子」というフレーズを受け入れていた自分を懐かしく思いますが、大人になった今は、そんな無邪気な感想を抱いているわけにはいきません(笑)
あの時、イヌやサル、キジはまさにその一粒のキビ団子を「日本一」だと思ったはずなんです。
著者の岩崎さんが指摘するとおり、そこに「ストーリー」の力があったからにほかなりません。
何の変哲もないただのキビ団子で、イヌやサル、キジがたった一粒で命を賭けてもいいと思うに至らせるという、とんでもない力がそこにはあったわけです。
桃太郎は、キビ団子を餌に計画的に仲間を増やしたわけではありませんでしたが(むしろ、行き当たりばったりで結果的に仲間が増えただけなわけですが)、僕らは僕らの持つ「キビ団子」に魅力を感じていただくように、積極的に動かなければなりません。
あなたの商品のお客様となる人たちが、信じることができる物語を語ってください。ものを買う罪悪感を、少しでも払拭してくれる物語を、お客様は待っています。(p.141)
震災による被害の中で、行き過ぎ感さえあるほどの自粛ムードが広がっています。
(個人的には、行き過ぎた自粛によって消費活動が落ち込めば、結果として震災復興支援が難しくなるという悪循環に陥ると思っているので、何とかして欲しいところですが)
横並びの自粛を抜け出すためにも「ストーリー」が大いに力を発揮するはずです。
日本全体が暗く落ち込む中で、岩崎さんが掲げる「世界が笑顔になる物語を増やす」というミッションの持つ意味が、より一層大きくなっていると思っています。
ビジネスに携わる多くの人たちが、ストーリーの力を知っていただくために、今、手にとって欲しい一冊としてお薦めします。
※ 本書は著者の岩崎聖侍さまより恵贈いただきました。厚く御礼申し上げます。
■ 関連リンク
著者ブログ: 小さな会社はストーリーを語れ!岩崎聖侍のヒーローズ・マーケティング
著者Twitter: @4649s
■ 基礎データ
著者: 岩崎聖侍
出版社: TAC出版 2011年3月
ページ数: 238頁
紹介文: 一番やさしくわかる「ストーリー戦略」の実践入門! 小さな会社のための「物語参加型消費」攻略法!
なぜ桃太郎はキビ団子ひとつで仲間を増やせるのか?~儲かる会社は知っている! ~
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岩崎聖侍
TAC出版
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■ 本書の参考文献に関する書評記事
■書評■ ポジショニング戦略 [新版] (2010年3月2日)
【書評】価格、品質、広告で勝負していたら、お金がいくらあっても足りませんよ (2009年6月27日)
【書評】小さな会社のブランド戦略 (2009年7月26日)
【書評】全脳思考 (2009年8月10日)
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『なぜ桃太郎はキビ団子ひとつで仲間を増やせるのか?』岩崎聖侍(著)
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