腐らせてしまった幹を蘇らせよう -書評- 一生モノの英文法
- 2012/07/04
- 15:00

もともと英語が話せるわけでもないのですが、最低限のことは何とかなっていくもんだなあなんて思ったりもしています。
僕が滞在する時間が長い国の公用語が英語ではないから、ということもあるかもしれませんが
(それでも日本と違って、たいていの人は英語でコミュニケーションが取れますし、仕事は全て英語です)
驚いたことに、とにかく現地の人の英語は文法がめちゃくちゃです。
中学校から何度も繰り返しテストで身に着けてきた、時制とか人称とかほとんど気にしていないような気すらします。
だから、といって甘えてはいけませんが、ついこちらも、それらのことは後回しにして
何とか聞こう、伝えようという想いの中で、はちゃめちゃな英語でも何とかコミュニケーションができているだけというのが現実です。
もちろん、理解した「つもり」、伝えた「つもり」、なんてことは頻繁に起こるんですけど…(汗)
ただ、そうやって最低限は何とかなるもんだと感じながらも、
それは本当に最低限であって、多少耳が慣れて理解力はあがったとしても、
このままでは、僕の英語の力は向上しないだろうとも思っています。
そんな中で書店で見かけたのが本書。
やはり土台となる基礎をしっかりと確認しておいた方がいいだろう、と思った次第です。
冒頭で、著者の澤井さんは「英会話型学習の限界」について述べています。
目新しいというわけではないのですが、僕自身も今の環境の中で感じるようになっていたことなので、のっけから掴まれました。
2番目の点については、仕事ではそんなことをしていたら困ってしまいますし、
実際の生活でも理解しなければいけない部分は何度でも聞きなおしています。
ただ、明らかに重要度の低い会話(お店の店員さんが何か言ってるなあ…とか)は分からなくても確かに素通りしています。
「最初は分からなくてもそのうち耳が慣れる」
という側面は否定しませんが、耳が慣れたところで結局何を言っているのか分からない、ということは多々発生するわけです。
僕の英語のレベルの問題でもありますが、新聞記事だって、ぱっと一読するくらいでは何が書いてあるんだか分からないことは少なくありません。
そんなレベルの人間にとっては、どれだけ耳が慣れようが、そもそも意味が分からない、という事態は避けられないはずなんです。
しかもそれは、「語彙の不足が問題ではない」ということもしばしば。
だからこそ、そのために「英文法」の知識が不可欠なんだ、という著者の主張には頷かされます。
※念のためですが、ここでの英会話型学習のデメリットは、あくまでも「初心者」にとってのものです。
著者も「中上級者」にとってはメリットがあることは、本書中でちゃんと書いています。
本書は「一生モノの英文法」と銘打たれていますが、まさに基礎の基礎、根幹の土台をなす部分に焦点が絞られていて、
第一部では「単語と単語の結びつき(5文型とかですね)」、
第二部では「文と文の結びつき」、
そして第三部では「準動詞句」が取り上げられています。
非常に読みやすく書かれていますし、例文は短めで使われている単語も比較的易しいため、ちょっと冗長に感じる部分があるかもしれませんが、読み進めるのに苦労はしないでしょう。
ただし、本書の内容は、木で例えれば幹となる部分であって、多少の枝葉はついていても十分ではありません。
当たり前ですが、一冊の新書で何とかなるほど甘い世界じゃないわけですね。
著者も本書をステップにして、更なる英文法学習の必要性を強調しています。
といっても、社会人向けの「英会話教室」は多々あれど、「英文法教室」なるものは聞いたことがありません。
学生時代から、そんなに英語の勉強が好きだったわけではない僕にとっては、実は文法の勉強というのはなかなか取り掛かるのに気力の要る分野です。
これまでにも、文法書に取り組もう、と思ったことは数知れませんが、未だ実現していませんでした(汗)
しかし、これを機に、本腰入れて一冊取り組んでみることにします。
(と思っているくせに、本書で「手を動かして書いてみましょう」等の指示があっても、読み流してしまっていたわけですが)
著者ウェブサイト: 澤井康佑『よく分かる英語の基本』
著者: 澤井康佑
出版社: 講談社(講談社現代新書) 2012年6月
ページ数: 320頁
紹介文: 英語(に限らず外国語)を学ぶうえで、いちばんの基本はなんといっても文法。とくに文章のつながりがどうなっているのかを知ることは読解、作文、会話すべてに共通する必須の知識です。
いままでの文法書の世界では、知識が体系的だが辞書的で使いにくいもの、もしくは簡単に書いているが知識として足りないものがほとんどでした。本書ではその両者の弱点を超え、最初から通して読むことで長文読解力を身につく文法知識が身につくよう工夫してあります。
まさに一生使える基本書の誕生です。
以前から、これに取り組もうかな…と思っていた文法書がありますので、覚悟を決めて取り組みますか。
目新しいというわけではないのですが、僕自身も今の環境の中で感じるようになっていたことなので、のっけから掴まれました。
じつは、英会話型の学習は、初心者が根底から英語力を身につけ、確実に学力の伸びを感じながら学習するには不向きな勉強法なのです。その最大の理由は「扱う文の大半が短いものである」ということです。(p.12)
英会話型学習のデメリットをもうひとつ挙げます。
それは、「相手の発言で理解できなかった部分を、確認できないまま素通りしてしまうことが多い」ということです。(p.13)
2番目の点については、仕事ではそんなことをしていたら困ってしまいますし、
実際の生活でも理解しなければいけない部分は何度でも聞きなおしています。
ただ、明らかに重要度の低い会話(お店の店員さんが何か言ってるなあ…とか)は分からなくても確かに素通りしています。
「最初は分からなくてもそのうち耳が慣れる」
という側面は否定しませんが、耳が慣れたところで結局何を言っているのか分からない、ということは多々発生するわけです。
僕の英語のレベルの問題でもありますが、新聞記事だって、ぱっと一読するくらいでは何が書いてあるんだか分からないことは少なくありません。
そんなレベルの人間にとっては、どれだけ耳が慣れようが、そもそも意味が分からない、という事態は避けられないはずなんです。
しかもそれは、「語彙の不足が問題ではない」ということもしばしば。
だからこそ、そのために「英文法」の知識が不可欠なんだ、という著者の主張には頷かされます。
※念のためですが、ここでの英会話型学習のデメリットは、あくまでも「初心者」にとってのものです。
著者も「中上級者」にとってはメリットがあることは、本書中でちゃんと書いています。
本書は「一生モノの英文法」と銘打たれていますが、まさに基礎の基礎、根幹の土台をなす部分に焦点が絞られていて、
第一部では「単語と単語の結びつき(5文型とかですね)」、
第二部では「文と文の結びつき」、
そして第三部では「準動詞句」が取り上げられています。
非常に読みやすく書かれていますし、例文は短めで使われている単語も比較的易しいため、ちょっと冗長に感じる部分があるかもしれませんが、読み進めるのに苦労はしないでしょう。
ただし、本書の内容は、木で例えれば幹となる部分であって、多少の枝葉はついていても十分ではありません。
当たり前ですが、一冊の新書で何とかなるほど甘い世界じゃないわけですね。
著者も本書をステップにして、更なる英文法学習の必要性を強調しています。
といっても、社会人向けの「英会話教室」は多々あれど、「英文法教室」なるものは聞いたことがありません。
学生時代から、そんなに英語の勉強が好きだったわけではない僕にとっては、実は文法の勉強というのはなかなか取り掛かるのに気力の要る分野です。
これまでにも、文法書に取り組もう、と思ったことは数知れませんが、未だ実現していませんでした(汗)
しかし、これを機に、本腰入れて一冊取り組んでみることにします。
(と思っているくせに、本書で「手を動かして書いてみましょう」等の指示があっても、読み流してしまっていたわけですが)
■ 関連情報
著者ウェブサイト: 澤井康佑『よく分かる英語の基本』
■ 基礎データ
著者: 澤井康佑
出版社: 講談社(講談社現代新書) 2012年6月
ページ数: 320頁
紹介文: 英語(に限らず外国語)を学ぶうえで、いちばんの基本はなんといっても文法。とくに文章のつながりがどうなっているのかを知ることは読解、作文、会話すべてに共通する必須の知識です。
いままでの文法書の世界では、知識が体系的だが辞書的で使いにくいもの、もしくは簡単に書いているが知識として足りないものがほとんどでした。本書ではその両者の弱点を超え、最初から通して読むことで長文読解力を身につく文法知識が身につくよう工夫してあります。
まさに一生使える基本書の誕生です。
■ 併せて読みたい
以前から、これに取り組もうかな…と思っていた文法書がありますので、覚悟を決めて取り組みますか。
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