食に纏わるエッセイに刺激されて -書評- 旅行者の朝食
- 2015/01/07
- 00:00

ちょうど年末年始の旅行に出かける際に、さて旅の友をどの本にしようかと探していたところ、「旅行者の朝食」というタイトルを見て(安くなっていたことも大きな要因となり)購入してみました。
実は、エッセイ系の書籍はちょっと苦手だったのですが、本書はそんな僕ですら、はまり込んでしまうくらいに面白い一冊でしたよ。
著者の米原さんはロシア語通訳の第一人者として活躍された方で、作家としても数々の著書を書かれて受賞もされています。
残念ながらすでに鬼籍に入られているのですが、寡聞にしてこれまでご著書を読んだことがありませんでした。
それにしても、なんて食いしん坊な方なんだろう、というのが率直な感想です(笑)
「食べるために生きるのではなく、生きるためにこそ食べるのだ」というのはソクラテスの言葉(らしい)ですが、米原さんは「生きるために食べるのではなく、食べるためにこそ生きる」タイプの人間だとのことで。
そんな米原さんの「食」に関するエッセイは、その文化的な知識とも相まって、絶妙な面白さを読者に届けてくれます。
しかしながら、本書を読んで僕が刺激されたのは「食欲’」ではなく、「読書欲」であり「執筆欲」でした。
食べることが好きな方には当然なのかもしれないのですが(僕自身、嫌いではないですが、それほど拘りのある性質でもないので)、書籍や物語に登場する「食」に刺激されてあれこれ考える様は本当に楽しい気持ちにさせてくれます。
そんな様子が垣間見えるエッセイからは、読書を楽しんでおられるような気がして、ますます読書がしたくなる、という構図に。実際、本書の影響で読みたいと思う本が出てきてしまいました。
さらに、久しぶりに文章を書きたいと思ったのは、読んでいて楽しいエッセイを読ませていただいたから。
以前、ビジネス書の書評記事を書き連ねていた際、「書評というよりもエッセイとして読まれるものを書きたい」というのが、密かでも何でもない野望でした。
もちろん、そんな域に達するほど文才があるわけでなし、執筆に時間をかけていたわけでもなし。
ただ駄文・散文を書き連ねていただけなのですが、そんな僕に対して、また書きたいな、と思わせてくれるほどに魅力的でした。
ちなみに、タイトルになった「旅行者の朝食」は、旧ソ連に存在したという、それはそれは不味い缶詰の商品名なんだそうで。
そんな不味いものですら、ちょっと試してみたいじゃないか、と思わせるほど、それに纏わるエピソードが面白いので、ぜひご一読を。
■ 基礎データ
著者: 米原万理
出版社: 文藝春秋
ページ数: 262頁
紹介文: その名を聞いただけでロシア人なら皆いっせいに笑い出す「旅行者の朝食」というヘンテコな缶詰や、数十年前たった一口食べただけなのに今も忘れられない魅惑のトルコ蜜飴の話、はたまたロシアの高級輸出品キャビアはなぜ缶詰でなく瓶詰なのかについての考察や、わが家を建てる参考にとはるばる神戸の異人館を見に行くも、いつのまにか食べ歩きツアーになっていたエピソードなど、ロシア語通訳として有名な著者が身をもって体験した、誰かに話したくなる食べ物話が満載です!
■ 併せて読みたい
本書でその存在を知ったのが、この「丸かじり」シリーズ。本書の中で紹介されているのは『タクアンの丸かじり』でしたが、読んだことのない僕は第一巻から(残念ながら、Kindle化されていないものも多いようで。。)
残念ながらすでに鬼籍に入られているのですが、寡聞にしてこれまでご著書を読んだことがありませんでした。
それにしても、なんて食いしん坊な方なんだろう、というのが率直な感想です(笑)
「食べるために生きるのではなく、生きるためにこそ食べるのだ」というのはソクラテスの言葉(らしい)ですが、米原さんは「生きるために食べるのではなく、食べるためにこそ生きる」タイプの人間だとのことで。
そんな米原さんの「食」に関するエッセイは、その文化的な知識とも相まって、絶妙な面白さを読者に届けてくれます。
しかしながら、本書を読んで僕が刺激されたのは「食欲’」ではなく、「読書欲」であり「執筆欲」でした。
食べることが好きな方には当然なのかもしれないのですが(僕自身、嫌いではないですが、それほど拘りのある性質でもないので)、書籍や物語に登場する「食」に刺激されてあれこれ考える様は本当に楽しい気持ちにさせてくれます。
そんな様子が垣間見えるエッセイからは、読書を楽しんでおられるような気がして、ますます読書がしたくなる、という構図に。実際、本書の影響で読みたいと思う本が出てきてしまいました。
さらに、久しぶりに文章を書きたいと思ったのは、読んでいて楽しいエッセイを読ませていただいたから。
以前、ビジネス書の書評記事を書き連ねていた際、「書評というよりもエッセイとして読まれるものを書きたい」というのが、密かでも何でもない野望でした。
もちろん、そんな域に達するほど文才があるわけでなし、執筆に時間をかけていたわけでもなし。
ただ駄文・散文を書き連ねていただけなのですが、そんな僕に対して、また書きたいな、と思わせてくれるほどに魅力的でした。
ちなみに、タイトルになった「旅行者の朝食」は、旧ソ連に存在したという、それはそれは不味い缶詰の商品名なんだそうで。
そんな不味いものですら、ちょっと試してみたいじゃないか、と思わせるほど、それに纏わるエピソードが面白いので、ぜひご一読を。
■ 基礎データ
著者: 米原万理
出版社: 文藝春秋
ページ数: 262頁
紹介文: その名を聞いただけでロシア人なら皆いっせいに笑い出す「旅行者の朝食」というヘンテコな缶詰や、数十年前たった一口食べただけなのに今も忘れられない魅惑のトルコ蜜飴の話、はたまたロシアの高級輸出品キャビアはなぜ缶詰でなく瓶詰なのかについての考察や、わが家を建てる参考にとはるばる神戸の異人館を見に行くも、いつのまにか食べ歩きツアーになっていたエピソードなど、ロシア語通訳として有名な著者が身をもって体験した、誰かに話したくなる食べ物話が満載です!
■ 併せて読みたい
本書でその存在を知ったのが、この「丸かじり」シリーズ。本書の中で紹介されているのは『タクアンの丸かじり』でしたが、読んだことのない僕は第一巻から(残念ながら、Kindle化されていないものも多いようで。。)
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