コメント
1 ■こんばんは
まだ読めてないですが・・・。
Takaさんの書評見て、読みたいなと改めて思いましたよー
2 ■Re:こんばんは
僕も読もう読もうと思いながら、読み始めるまでに時間のかかった本です。
でも、やっぱりいい内容ですよ!
是非novさんがどんな風に感じられるのか知りたいですねえ~。
書評及び海外ニュースの紹介等を中心とした情報を発信します
「TABLE FOR TWO」という活動をご存知だろうか。
恥ずかしい話だが、僕は社会起業に関心があるにも関わらず、この活動については本書を目にするまで全く知らなかった。
聞けばよく考えられた「仕組み」であり、どんな形であろうとも、個人が社会起業に関われる形としては敷居の低い活動であり、広がりの速度も速そうだ。
「TABLE FOR TWO」(「TFT」)は、
「全世界の67億人のうち10億人が、食事や栄養を十分に摂ることのできない貧困状態に置かれています。その一方で、日本を含む先進国では、ほぼ同じだけの数の人が、食べ過ぎによる肥満や生活習慣病に悩んでいるのです。
TFTはこの「食の不均衡」を解消し、先進国と開発途上国の人々をともに健康にすることを目指し」ている活動だ。
通常の企業活動以上に、社会事業活動に対しては、この「理念」「志」の部分で、どれだけ共感を得られるかが非常に重要なポイントになるのだが、僕はこの「志」を読んだ時に、素晴らしいと思った。
特にTFTは、戦略コンサルタント出身の著者がその知識と経験を活かして、「他の団体がやっていないことを探す」「他の団体にはない特徴を出す」という差別化にこだわっているだけあって、図抜けた分かりやすさと共感を感じた。
(詳細は、本記事の最後にリンク先を示しているので、そちらからTFTのウェブサイトを見て欲しい。)
ただし、本書のポイントは、そういった社会事業活動を紹介することではない。
タイトルにもあるとおり、「”想い”と”頭脳”で稼ぐ社会起業・実践ガイド」なのである。
成功している社会起業家が口を揃えて言っているとおり、「社会事業であっても、活動を継続するためには利益を上げ続けることが必要」であり、ということは、利益を生み出すことを究極の目的としている、通常の企業活動におけるスキル・ノウハウを活かすことが必要になる。
本書は、その部分を詳細に、丁寧に、TFTの「5P」に則して説明している点に最大の読みどころがある。
TETの「5P」
Purpose(目的・達成目標)=TFTのミッションは何か。
Partnering(提携)=どんな組織や団体とどのような形態で連携していくか。
People(組織・人事)=どんな人たちを巻き込んでいくか。また、組織づくりに必要なのはどういう人か。
Promotion(宣伝・広報)=ミッションや活動内容をどんな媒体や手段でどのように伝えていくか。
Profit(利益・成果)=どうやって事業収益を上げて目的を達成するのか。
詳細は是非本書読んでもらいたい。
ムハマド・ユヌス氏のマイクロ・ファイナンスや、ジョン・ウッド氏のRoom to Readなどによって、日本でも社会企業家、社会事業という概念は広まっているが、その実態はまだまだ浸透しておらず、ボランティア活動との区別がついていない人も多い。
(そういった日本人の認識は、本書の中でも何度も出てくる。)
本書は、そういった認識を新たにし、社会起業家や社会事業活動を正しく認識させる効果も期待される。
ただ、一点気になったのは、著者は社会事業活動の活動資金の源泉を寄付に置いているところだ。
先のムハマド・ユヌス氏もジョン・ウッド氏も、そこは寄付に置くべきではないとの考え方に立ち、投資家を募っている。
寄付行為は一人ひとりが「20円」を行っているのであって、活動資金は投資家を募るべきではないかと僕も最近になって思い始めている(ユヌス氏の著書を読んでいる時には腹に落ちなかったのだが・・・)
最後に長くなるが、「おわりに」にある著者の言葉を紹介しておきたい。
誰の心の中にも、「いいことをしたい」という気持ちはあるのです。ただ、皆その方法がわからなかったり、素直に気持ちを出すことが恥ずかしかったりするだけなのです。
だから、「いいことをするべきだ!」と言うのではなくて、「こうすればたいして無理をしないでいいことができますよ」「あなたの気持ちをこういう形で届けますよ」、そう言えるだけのしくみを用意すればいい。そうすれば、みんな喜んでそのしくみを使ってくれるはずです。
社会起業家というのは、そういうしくみをつくる人なのだと、僕は思っています。しくみをつくり、新しい価値を生み出し、上がった利益を最適に配分する。そう、それはまさしくビジネスです。ただ、しくみをつくる目的がちょっと違うだけなのです。
この言葉に物凄く共感を覚えたし、広く知ってもらいたいと思う。
【関連リンク】
【基礎データ】
著者: 小暮真久
出版社: 日本能率協会マネジメントセンター 2009年3月
ページ数: 224頁
紹介文:
こんなビジネスがあったのか!
マッキンゼーの戦略コンサルタントから社会起業家へ。
日本人がつくった「すごいしくみ」に惚れ込んだから。
「20円」でできること。
アフリカの子どもに温かい給食を一食。
日本で食べるヘルシーなランチ代が、彼らの食事になる。
“想い”と“頭脳”で稼ぐ 社会起業・実戦ガイド 「20円」で世界をつなぐ仕事 小暮 真久 日本能率協会マネジメントセンター 2009-03-21 売り上げランキング : 4529 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
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