一般的にイメージされる「プレゼン」ということで言うと、僕は、するよりもされる側になる方が圧倒的に多い。
「プレゼン」を行なうためのチームに入ることは少なからずあったけれど、僕はプレゼンテーターの役割ではないことが多かったし。
ただ、当時よく一緒のチームで働かせてもらった方が、傍で見ているだけでも勉強になるくらい抜群のプレゼンテーターだったので、色々と学ばせていただく機会には事欠かなかった。
若手ビジネスパーソンの中には、僕と同じように「プレゼン」をする機会なんてあまりないよ…という人は少なくないだろう。
そして、教えてもらった記憶もないなあという人も。
実際、本書の著者である山田さんが行なったアンケートでは次のような結果が得られているという。
私が20~30代のビジネスパーソンを対象に、400人以上へ実施したアンケートでは、約8割の人が「プレゼンが苦手」で、約7割の人が「プレゼンの方法を誰からも教わったことがない。我流でやっている」という結果が出ている。(p.4)
場数を踏む経験も少ない上に、教えてすら貰えないのでは、我流でやろうにも改善していくだけの機会もない。
さらに、ポジションが上がってきてしまえば下手なプレゼンをするわけにもいかない。
このように、その重要性の割りには、若いうちにきちんとした土台を築きにくいのが、「プレゼン」スキルのようだ。
しかし、「プレゼン」というものを本書で言われるような捉え方をすれば意識が少し変わってくる。
聞き手が期待通りに行動してくれるようになること、それこそがプレゼンで最も重要なのです。 いい方を換えると、期待通りに人を動かすための説明はすべてプレゼン なのです。(p.24)
もちろん、本書で解説されているようなテクニックをフルに発揮するのは、資料を用意し、プレゼン会場で、プロジェクターで投射して、何名かの聴衆を前にプレゼンテーターが話をする、という場面であろう。
しかし、日常の小さな場面も「プレゼン」だと捉えれば機会は途端に増えるはず。
例えば、上司との一対一での打ち合わせで自分の企画に理解を得て、他部署の調整をお願いすることだってプレゼンだし、同僚に動いてもらうための説明だってプレゼンだ。
そんな時に心得ておきたいことや、実施すべきことなど、様々なテクニックが本書では紹介されている。
その中でも、どうしたって覚えておきたい大切な心得をあげておきたい。
「人を動かす」ために重要な3点: 1 誰に【聞き手に対する深い理解】 2 どんな行動をしてもらうのか【期待する行動の適切な設定】 3 そのために何を話すのか【話す内容の効果的な設計】(p.25)
これは僕自身激しく同意するところであるが、気が付いて欲しいのが、どこにも「見栄えのよい資料」なんて言葉はでてこないところ。
僕の経験の中でも、特にPCスキルに長けた若手ビジネスパーソンに多かったのだが、資料を作成していると様々なテクニックを駆使して「見栄え」をよくすることに傾斜しすぎてしまう人が少なくない。
もちろん、あまりに稚拙な資料は、プレゼンテーターの見た目の問題と一緒で、プレゼン内容自体を稚拙に見せるということはあるから最低限のクオリティは必要だが、資料はあくまでも、「人を動かす」ためのプレゼンをサポートする役割しかないのだということを忘れてはいけないだろう。
(実際、その場で手書きで描いた方が効果的なプレゼンだってあるだろう)
それから、個人的に自分が「プレゼン」をする際に直さなければいけない点として認識しているところについて。
ゆっくり話すだけで、あなたのプレゼンはグッと説得力を増すのです。 逆に、話している内容がたとえよくても、早口でプレゼンされると聞き手はイライラしてきます。(p.141)
これ、僕は「早口すぎて何言っているのか分からない」と言われることが少なくないので(汗)、プレゼンの場面に限らず、どんなときでも気をつけておかなければならないこと。
講演会などでもついつい早口になってしまっている自分に気が付いたことが何度か。
ひと呼吸おいて、自分で思う以上にゆっくり話すように心がけないといけない。
現時点で「プレゼン」をする機会の大小にかかわらず、若手ビジネスパーソンは一読しておいた方がよい。
今後さまざまな経験を積んでいく中で、「プレゼン」を全くしないでいい仕事なんてないのだから。
また、すでに失敗が許されないポジションになってしまっている方も、こそっと本書を開いて、自分自身のプレゼンの改善に役立ててみてはいかがだろう。
さすがに経験豊富な著者のテクニックには、学ぶべきところがたくさんあるはずだ。
※ 本書は著者の山田進一様より献本いただいたものであり、この場を借りて厚く御礼申し上げたい。
■ 関連リンク 著者サイト:
山田進一公式ホームページ ■ 基礎データ 著者: 山田進一
出版社: あさ出版 2010年7月
紹介文: プレゼン世界一の男が教える13200人が絶賛のワザ
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